ベイズ統計学が戦争を終結させたのです。
それはコンピュータの生みの親アラン・チューリングです。不思議なことにコンピュータが生まれる時から今のディープラーニングの基礎にあるベイズの法則が使われていました。
これは今になって考えるととても興味深いことです。コンピュータといえばノイマン型のアルゴリズムと思っていましたが、実はチューリングが考えたのは人工知能の原型だったのです。
アランチューリングは暗号解読機BOMBというマシンを作ります。
そして進化したコロッサスです。これが最終的にドイツの暗号システムエニグマとトニーを破ります。
さてチューリングのボンブですが、これは自家製のベイズシステムです。
特定のメッセージを暗号化する際に用いられるエニグマの設定を突き止めるというのは原因の逆確率の古典的な問題だった。チューリングがどこでベイズの手法を拾ってきたのかは明らかでない。自分で再発見したのかそれともどこかで戦前ケンブリッジ大学で一人孤独にベイズの法則で擁護していたジェフリーズについて聞きかじってそれを取り入れることにしたのか。わかっているのはただ一つ、チューリングもグッドも統計学者ではなく純粋数学者だったから、反ベイズの姿勢にそれほど毒されていなかったということだ。
グッドは一度、チューリングに「煎じ詰めればベイズの定理を使っていることになるのではありませんか?」と尋ねたことがあった。するとチューリングは「たぶんね」と答えた。グッドはこのやりとりから、チューリングはベイズの定理の存在を知っていたと見ている。(『異端の統計学 ベイズ』 シャロン・バーチュ・マグレイン著 草思社)
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